第1章

5/30

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
頭の中に眩しい光が見えて、その中にゆっくり現れたのはなんだか懐かしい顔 胸の奥からグルグル何かが吹き出してきた。 とぐろを巻いた赤黒い雲が胸の中に広がり 痛い 苦しい 悔しい 悲しい だけど愛しい 息苦しいグジャグジャした気持ちに 「イヤァァー!!」 思わず叫んだ。 自分の声と共に体の感覚が電気が走るように蘇っていく。 もう一度ゆっくり目を開けると 目の前の美しい人に、息が止まるほどに恋しい気持ちが湧き上がるのに、拒絶の気持ちが邪魔をする。 なぜそんな気持ちになるのか分からない。 この人がひかりちゃんが言ってたパパなの? 何でこの人を見ると息が苦しくなるんだろう 「…夕貴」 ユラユラする目を向けながら、恐る恐る手をこちらに伸ばす人 その震える手が頬に当たるのを 反射的に嫌だと思った 「やっ!」 手から逃げるように顔を背けた。 胸にはジリジリと赤黒い何かが焦げている。 側にいる人はそれ以上触れてこなかった。 自分がどうなっていたのか全然分からない。自分の名前さえ浮かんでこなくて 頭がクラクラする。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加