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頭の中に眩しい光が見えて、その中にゆっくり現れたのはなんだか懐かしい顔
胸の奥からグルグル何かが吹き出してきた。
とぐろを巻いた赤黒い雲が胸の中に広がり
痛い
苦しい
悔しい
悲しい
だけど愛しい
息苦しいグジャグジャした気持ちに
「イヤァァー!!」
思わず叫んだ。
自分の声と共に体の感覚が電気が走るように蘇っていく。
もう一度ゆっくり目を開けると
目の前の美しい人に、息が止まるほどに恋しい気持ちが湧き上がるのに、拒絶の気持ちが邪魔をする。
なぜそんな気持ちになるのか分からない。
この人がひかりちゃんが言ってたパパなの?
何でこの人を見ると息が苦しくなるんだろう
「…夕貴」
ユラユラする目を向けながら、恐る恐る手をこちらに伸ばす人
その震える手が頬に当たるのを
反射的に嫌だと思った
「やっ!」
手から逃げるように顔を背けた。
胸にはジリジリと赤黒い何かが焦げている。
側にいる人はそれ以上触れてこなかった。
自分がどうなっていたのか全然分からない。自分の名前さえ浮かんでこなくて
頭がクラクラする。
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