第1章

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いつの間にか男の人はいなくなって、開いた扉の向こうから誰かと話す声が聞こえる。 喉が乾いてヒリヒリと痛む。 ゆっくり時間をかけて力が入らない体を僅かに起こして、ベッドの端をを掴みながら棒のような足をゆっくり下ろした。 何か飲みたい 欲に突き動かされるように立ち上がろうとしても立てなくて、ベッドの下の絨毯にうつ伏せ状態で転がった。 重い体を芋虫のようにして移動をしていると、先程の人が戻ってきてた。 「どこに行きたいの?何か欲しいの?」 床に転がる私の横にしゃがんで優しく声をかける。 「……。」 何も答えない私を有無を言わさず抱き上げ、ギュッと力が込められた 逃れようとバタバタしても力が入らず、力無く項垂れるしかなかった。 「夕貴、愛してる。夕貴を好きな気持ちに一点の曇りもないよ。 信じて、俺は夕貴が好き。夕貴がいないと立っていられない。 夕貴がいないとダメなんだ。」 抱きしめる人の言葉は、どこか他人事のように聞こえる。 何も答えない私に彼はさらに語りかけた。 「夕貴のためならなんだってする。今何が欲しいのか何がしたいのか言って。俺が夕貴の手や足になるから…。」 抱き上げてリビングのソファーに連れていかれ、景色が見える場所に下ろされた。
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