月は何を見せるか

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「へーへー、もの知らぬものですいませんね。」 がりがりと頭を掻いてグラッドはふてくされた。ふけが飛んだのかリーフは体を後ろに引く。ぼくには届かないだろう。それに付け足すことは、 「魔術は道具を、魔法は自身を作る。」 ホーホーと答えるように鳴くスリクスに笑い返す。 「それはやっぱりお前さんがアスマ共和国で知ったのかい?」 頷いて続ける。 「魔法も魔術も使うには才が必要だ。だが、魔術で作られた道具は効果だが誰でも使える。」 「そりゃ便利だなあ。」 「だが動力となる魔力がなければ動かないだろう?」 問われて答えようとする。 ふと、耳に入ってきたのは犬の吠え声。かすかに血の匂いも香ってくる。少し微笑ましく思え、どんな獲物が獲れたのか思いを馳せる。…もう少しすれば弱い獣じゃなくて魔獣を狩る群れとして入れるはずだったのに。 「おい?」 「あ、ああ。魔力を貯めることができる魔鉱石を使うらしい。ただ魔鉱石は希少でとてもじゃないが平民はおろか中流貴族でも手を前出せないな。」 うへえと顔をグラッドはしかめてベッドに倒れかかった。 「なんじゃそりゃ。ぜんっぜん役にたたねえ!そんなら魔法使いか魔術師を雇ったほうが安いぞ。」     
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