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むかしむかし…。
むかしむかしのお話です。
まだ山も海もそれさえ空さえなかった頃、一つの種がどこからか飛んできました。種は芽を出しすくすくと育ってゆきました。何よりも太い根っこを広げ、とっても立派な幹を伸ばし、すっごーい大きな葉っぱを生やしました。
葉っぱはとってもとっても大きかったので、落ちた枯れ葉はつもりに積もって根っこを覆い隠し、とうとう地面になりました。葉っぱは何十にも何百十にも重なったのでそれはそれはしっかりとした地面が出来上がりました。
根っこは幾つか盛り上がっていたところは偉大なる山脈として連なりました。ぐんぐん成長したその樹はとうとうにっちもさっちもいかなくなってしまいました。少し成長しただけで間違って自分を傷つけて、自分に怒り、傷付けた場所には栄養を渡さなくなりました。ほら、だから、今でも南は不毛の砂漠なのです。
傷ついたところからは樹液が流れ出しました。傷はまだ治らないため、東はどこまでも広がる大海原があります。
仕方がない、樹は諦めて成長をする事を止めました。その代わり、樹は実を作り始めました。
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