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別に黒髪黒目など珍しく何ともない。けれどここまで真っ暗な色は見たことがなかった。顔つきは精悍で狼を思い起こさせる。
旅人だろうか。そのような色はここら辺では見れないものだった。
「あ、ああそれなら、この村の近くを通る大きな道の左の方だ。右に行くと国境がある。」
そう教えてふと、彼はそっちの方からから来たんじゃないかと思い付いた。
「そういや、おんめえ、今から行くんか?そいならやめときな。人族の足じゃあ門が閉まるまでに辿り着かねぇ。もう少しすりゃあ日も落ちる。日が落ちれば獣が出るぞ。たまに魔獣も出るって話だ。」
彼が目をぱちくりと梟と一緒にしたから、つい笑ってしまう。
「……そうですか、どうしようかな。あのこの村に宿はありますか?」
指差して教えてやる。
「村に入って一番広い道を行きな。他のよりでっけえ家がある。看板に黒猫の絵が描いてあるさ。そこが黒猫ヤトの宿屋さ。安くもねぇが高くもねぇ。そこまで煩くもなかったはずだから、そいつも一緒に泊まれんだろ。」
顔を崩して彼はお礼を言って歩いていった。
「なんでぇ、笑えば可愛いんじゃねぇの。」
そう呟いて微笑むと、これからする事を考えた。そしてもう一回ため息をついて、グラスは鍬で耕し始めた。
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