ああ、しあわせ。

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ああああぁーーー。 くぅーーーう。 身体の奥底から、心地良さを表す声が、自然と湧き上がる。 肌とお湯が出会った瞬間の、サプンッ、という快い音の反響を味わいながら、全ての力を抜き、自身の体を浴槽に預ける。 少しだけ熱めに沸かされたお湯は、まさに俺のために用意された、最適な温度。湯船の中で、俺の全てに触れようとする柔らかな湯に、あなたの到着を、ずうっと待っていましたと囁かれ、抱きしめられる。今考える必要の無い悩みや、今日までの疲れ、身体の重苦しく感じていた部分がお湯に溶け出し、その空いたスペースに、温もりと穏やかな思考が補充されてくるかのような感覚に陥る。 「最ッッ高。」 まぁ、とにかくそういうことだ。 俺は湯船に浸かりながら、目を閉じる。 12月に入り、急激に気温が下がってきた。特に今日の屋外は冷たい北風が吹き荒れ、身体がちぎれそうなほどの厳しい寒さだった。 思えばここまでの道のりは、長かった。 今日とは真逆の、日差しが照りつける夏には、渇きと暑さに耐えることもあった。 まさか俺の身体目当てに悪い虫が近づいてくるなんて、想像もしていなかった。 招かざる客に執拗な攻撃を受け、脱落した仲間もいる。 こうした数々の試練を乗り換え、遂に努力が実を結び、俺は、俺たちは、今日という日を迎えることができたのだ。 俺たちは、完璧に整えられた浴槽に招かれた。洗い場で腰を下ろすと、左右から伸ばされた手により、驚くほどあっという間に身体を洗われ、湯船の中へと誘導された。 選抜中の選抜メンバーである俺たちは、特別待遇なのだ。 誰にも邪魔されない、静かな一番風呂。 俺たちは、しっかりと堪能させて貰った。 「最ッッ高。」 俺はもう一度呟き、肩まで浸かり直した。
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