3.初めての「殺し」

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3.初めての「殺し」

「師匠、いつの間に」 「てめぇ、血の匂いはすれども、女の血じゃねぇな。まさか失敗したとは言わせねぇぞ?」 「すみません、師匠。だが、俺はあの娘だけは殺せないんです」 「意味が判んねぇよ。依頼の未達は、暗殺者の名折れだ。失敗は許されねぇ――どうやらてめぇは、とんだ見込み違いだったわけだ。処分せにゃならねぇか――」 「俺を殺すんですか、師匠?」 「最初にそう言っただろうが。馬鹿な真似しやがって」 「死ぬのは俺も困ります」向き直る青年。「俺は生きる。生きるために何でもして来た。いくら師匠でも、殺されるわけにはいきません。許してくれませんか?」
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