1.初めての「仕事」

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「てめぇは確か、生きることに貪欲だったんだっけか? 昔は盗みも殺しも平気でやってたんだろ? そんなてめぇを見込んで、俺が飼ってやってんだよ。いい加減自覚を持て。気ぃ抜いてんじゃねぇ」 「……すみません」 「俺の見込み違いだったら、てめぇなんざ、容赦なく切る(・・)からな?」 「はい」 「ったく……てめぇを見てると、昔の俺を思い出して嫌になるんだっつうの」  ふと、師匠の眼差しから怒気が消える。  ほんの一瞬だったし、何を青年と重ねているのかは測りかねたけれども。そもそも一人前の殺し屋が、過去を振り返って感傷に浸るなんて真似、するはずがない。そんなのは半人前の青年だけだ、多分。 「師匠、今何か言いました?」 「何でもねぇよ」  師匠はぷいっとそっぽを向いてしまう。  いつもこうだ。青年の心の垣根には容赦なく踏み込んで来るくせ、自分のこととなると突っぱねてしまう。  だが、毎朝起こしに来てくれたり、弟子として育てたりしてくれていることを考えると、意外と世話焼きな一面も垣間見える。  非情な暗殺者なのに、青年は奇妙な情を、信頼を、師匠に抱いても居る。 「よし――そんじゃ、朝の用件を伝えとく。今夜、アサシンギルドから仕事の依頼を持って来てやる」 「仕事ですか。俺に?」  だから、今日も世話を焼かれた。  斡旋だ。 「いつまでも半人前で飯が食えると思うなよ? 初仕事だ――殺して来い(・・・・・)
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