2.初めての「侵入」

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 教わった通りに最上階へ登り、ひときわ大きな扉の部屋へ忍び込めば、思った通り、標的の娘が眠る寝室だった。  瀟洒な天蓋付きのベッドである。  薄絹のカーテンに覆われた向こう側で、すーすーと寝息を立てているのが聞こえる。  室内の床には、柔らかな絨毯が敷き詰められており、足音を立てずに接近できた。  ちょろい仕事だ。  青年はゆっくりと歩み寄る。  壁や棚には、高そうな絵画や彫刻が飾られているが、そんなものに興味はない。  まっすぐにベッドへ向かい、カーテンを手で引いた。 「……遅かったですね」 「なっ――」  青年は、咄嗟に飛び退いた。  一定の間合いを確保する。  ベッドには、娘が座っていた。  すーすーと落ち着いた呼吸を立てているが、上半身を起こし、青年の接近を歓迎するかのような姿勢だった。  長い金髪で、小さな顔で、白い肌が透けそうな美少女だった。寝巻きのネグリジェをしどけなく着崩した無垢な少女は、青年の姿を眺めすがめつ、ゆっくりと口角を上げて、えくぼを刻んだ。
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