2人が本棚に入れています
本棚に追加
「私達、もう会わない方がいいと思うの」
私は放課後、川中島南中学校の正面入り口に続く、まだつぼみも付いていない桜並木の下で、拓海に告げた。
「はあ?いきなり何それ」
拓海は、右目だけを大きく開いて、体を斜めにしながら、私の顔を覗き込んだ。
拓海は身長百六十センチで、私の百四十八センチの眼前に顔を合わせるには、しゃがみ込むか、腰を曲げないといけないから。
「だから、ね、もう、終わりに、し、しようって」
「だからさあ、いきなりどういう意味かって聞いてんの」
回りくどいいい方じゃあ通用しないんだ。
そうよね。男子って、女子と違って、ストレートに言わないと分からないんだよね、きっと。
「私達、終わりにしましょ」
「お、終わり?」
「・・・・・・別れましょ」
胸が詰まる。
ストレートに別れを切り出す事が、こんなに苦しいなんて思わなかった。
でも、仕方ないんだ。拓海のためだから。
「あのさあ」
拓海が呆れ顔で私を睨んでいる。
それもそうよね。いきなりこんな事言われたら、誰だって・・・・・・
「俺達って、付き合ってんの?」
「・・・・・・え?」
最初のコメントを投稿しよう!