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涙が枯れるまで、拓海は付き合ってくれた。
落ち着いてきた私は、少ししゃくりながらも、全てを話した。
「手術とかしても、ダメなのか?」
私は、無言で頷いた。
ずっと俯いていた私は、やっとその顔を上げて、真っ直ぐに拓海を見た。
拓海の頬も、少し濡れていた。
「でね、余命宣告されちゃった。あと、半年だろう、って」
笑ってそう言おうとしたけど、その時の私の顔は、きっと卑屈な笑顔を作っていたと思う。
「佳乃!」
「は、はい」
突然の大声に、私は背筋を伸ばしてしまう。
そのまま私の両肩に手を置いた拓海は、私の目をじっと睨んだ。
「俺と、付き合ってくれ。い、いや、付き合ってください」
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