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ちょっと、私の話、聞いてた?
そう言おうとしたけど、声にならなかった。
目を見開いて固まっている私に、拓海は続けた。
「佳乃の事だから、ホントは真実を告げずに、このままさよならしようとしただろ」
拓海は、怒っているのか、悲しんでいるのか判らない瞳を、私に向けている。
「半年後に、俺を悲しませるくらいなら、黙って身を引こうとか、ドラマのヒロインみたいな事、考えたんだろ」
「い、痛い、よ」
私の肩を掴む手に力が入る。
それでも、拓海の言葉は止まらない。
「余命半年って言われたの、いつだ」
「え、えっと、病院に行ったのが、十日前・・・」
拓海の勢いに押されて、聞かれた事には素直に答えてしまう。
「じゃあ、佳乃の余命は、あと百七十日なのか?」
「え?」
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