「告白」と「告白」

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「一ヵ月が三十日として、半年は百八十日。医者に宣告されて十日経ってるから、佳乃の余命は、あと百七十日なのか?」 「そ、そういう訳じゃ、ないと思うけど」  拓海は一度下を向くと、その手を震わせながら言った。小さな声で。 「違うよな。この話を聞いたのが、もし明日だったら、佳乃の余命は百六十九日って、違うよな」  何が言いたいのか分からずに、私は言葉に詰まる。 「佳乃の余命は、半年なんだ。十日前も、今日も、そして、半年後、も」  そこまで言うと、拓海は勢いよく顔を上げた。  作り笑顔だろうか、少しだけ笑っている様な気がした。 「俺が毎日言ってやる!毎日言ってやる!佳乃の余命は半年だって。だから、半年たっても、佳乃の余命は半年だ」  言ってる事は無茶苦茶だ。  でも、拓海は本気でそう言っている様に見えた。  真っ直ぐ私を見ながらそういう拓海に、私は少し胸が締め付けられるのを感じた。
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