我輩も猫である。

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 こないだの『クリスマス』とか言う人も、結局来なかった。ケーキまで用意してたのに食べたのは我輩の飼い主だけ、それなのに嬉しそうな飼い主達を見るとなんとも不思議な者じゃ。  そうそう。あの日は我輩にも、普段戸棚の奥に隠しているカンヅメという物をくれたのを思い出した。普段から出せば良いものを、なんともケチ臭い飼い主殿だ。  そんな事を思っていると、飼い主が洗濯物を干している。  何時もなら我輩を別の部屋に閉じ込めるのに今日は閉じ込めない。  我輩がカーテンに隠れているからだ。  窓が開いた、飼い主殿は後ろを見ている。  我輩は外へと素早く移動する。  冷たい風が気持ちい。捕まる前に直ぐに近くに隠れた。  我輩の後ろで窓が閉まる音がする。外だっ。何、腹が減ったら入れて貰えば良い。  今はそんな事より楽しい外だ。  思う存分、草を食べる。シャキシャキとして旨い。我輩の手より小さいのが行列を組んでいる。確か蟻といった気がする。一匹を食べてみるが余り美味しくない。  美味しそうな鳥が鳴いている、捕まえようとすると空高く逃げられた。今度地上に来たら必ず仕留めてやる。  段々と疲れてきた、お腹が減ったのだ、草を食べてもお腹いっぱいにはならない。  窓が閉まっている。  我輩は開けてくれと何度も叫ぶが窓は開く事はない。     
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