我輩も猫である。

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 坊さんの一人が、我輩を持ち上げる、首に付いている首輪を触っている、丁度痒かったので気持ちい。お主も中々やるな、嬉しいのでつい喉を鳴らしてしまう。  坊さんが首輪を余りに強く引っ張るので我輩の首が絞まる。  もしや、我輩を殺すつもりなのかっ。このままでは殺されてしまう。  逃げる、必死で逃げる。  沢山の人間や坊さんに追われながらも我輩は走った。  気づくと回りに人は居なく我輩だけである。  空には金色の丸が浮かんでいた。  寒い……下僕の布団へ入りたい……。我輩は早く迎えに来いと下僕を呼ぶ。    違和感を覚えた。鼻先に力をいれる。  匂いがするのだ、これは我輩が何時も食べているご飯の匂い。  我輩は走る。何処かで見た家が並んでいる……そうだ、我輩の家である、窓は開いており真っ暗だ。  なんと無用心である、近頃はドロボウという人間が居ると聞く。今度飼い主に注意しないといけない。  真っ暗な中にご主人が寝ていた。その横には我輩が何時も使っているご飯の入れ物が置いてある。  我輩は寒いのである、早くその布団の中に入れるのである。  下僕の顔を手で叩くと飼い主が飛び起きた。  我輩を見ると直ぐに、窓をしめ行き成り抱きつく。苦しい、我輩はもう寝たいのである。     
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