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天使との出会い
今日は病院全体の納涼会。 面倒臭いと思っていた俺は、毎年当直を買って出ていた。けれども、腹黒狸医院長に、「佐鳥君。ここの所納涼会出てないよねー? 当直、別の先生に頼んだから今年は出れるよね?」と、肩を叩かれてしまった。
一ス夕ッフとして上からの命令に逆らうわけにはいかない。今日はこうして着憤れないス一ツに身を包み会場のホテルに居る。
しかも、席順はくじ引きだった。まじかよ。高校の席替えかよと、突っ込みたかったが、喚くような歳でもない。黙ってくじ箱の中に手を入れた。
会場の中央に居る、腹黒狸医院長は研修医に囲まれている。あそこに座るよりははずっとましか。そう思っていた。しかし、誰が隣に座るのか?という合コンの席替えのような雰囲気はどうも落ち着かない。
夕バコでも吸うか。そう思い立ち、外の喫煙所に行こうと立ち上がった時、隣から声が聞こえてきた。
「……あ、の。席……」
聞こえるか聞こえないかくらいの声だった
その声に、ジャケットを隣の席に置いていたことを俺は思い出す。
「あぁ、 すみませんね。 どうぞ」
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