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僕の頭の中にあるひとつの考えが過ぎった。
……バカバカしいと打ち捨てていた女子達の噂。
___永久の桜に願えばずっと一緒に居られる。
そんな事……あるわけがない。
頭ではわかっている。けれど……それしかないって思ってしまう自分がいた。
ちょっと探すだけ。一回好奇心で見に行くだけ……。
真夜中の学校は真っ暗で得体の知れない何かが潜んでいるようで薄気味悪く……でも何故か嫌いじゃなかった。
校庭へと目を向けると街頭に照らされた桜の木が裸の枝を晒している。
そうだ……今の時期に桜なんて咲いてないんだ……
「……はっはは……僕も焼きが回ったな……」
頭を抱えて笑った。宇月もきっと笑ってる。こんな僕を見て馬鹿だなぁってきっと笑ってる。
物言わぬ宇月を抱き抱え咲かぬ桜の下で僕は大声で歌った。
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