自称親友

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 自称、親友の美由紀が万引きでつかまったそうだ。  高校もいかず、我が家にあがりこんでお菓子を食べて、ママに媚びを売って、ジュース飲んで、私の服とかを勝手にオークションで売ろうとしたりして、楽に生きようと必死な美由紀が、コンビニで大福とチョコレートと、プリンを抱えて出て行こうとしたところ、店員に呼び止められたらしい。  一連の流れを、電話に出てうろたえ、いそいそと出かける支度をしているママから聞き、パパも私も呆れた。  まさか、連絡先に美由紀は自宅ではなく、我が家の電話番号を使うなんて虫がいいにもほどがある。  まるっきり、家族の一員じゃないか。  やめてほしい。同じ家に住んでいるけれど、美由紀は赤の他人だ。ママだけが、自分の分身みたいにかわいがって甘やかして、わがままにさせているだけじゃないか。  コンビニからの電話に、涙を流しつつママは「はい、はい、わかりました」と言って、頭を下げたり、鼻水を拭ったりしている。 「いい機会だよ、美由紀ちゃんはもう、我が家に入れたくない」  はあ、と息苦しそうなため息を吐き出してパパがつぶやいた。 「私もそう思うな、あいつが来てから、ママはますます太ったもん」 「美由紀ちゃんは泣き叫ぶし、きつく言えないからなあ……困るよ」  パパにも、美由紀は悩みの種だったようだ。  痩せていて、ださい眼鏡をして、安物のワイシャツとスラックスばかり買わされて、少ししかもらえない小遣いでタバコとか、お昼とかやりくりしているパパのほうが、私にはよほどかわいそうに見える。  会社で仕事して、疲れて帰ってきても、騒がしいにせ母子。  ママと美由紀はパパがいない間、おいしいものをたらふく食べて、ソファーでいびきをかいて寝ている。  適当に作った夕飯で、私とパパはふたりで食べて、片づける。  美由紀やママが散らかしたぶんも、全部、私が片づけなくてはいけない。
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