0人が本棚に入れています
本棚に追加
檻に囲まれた制約ばかりの人生のなかで、あなたのように自由になるにはどうすればいいの?
あなたと繋がれば、私は自由になれると思っていた。でもあなたはそれを拒んだ。檻のなかの惨めな私と、檻の外の自由な和泉。私にはもうどうすることもできないの?
……そうだ。わかったよ、和泉。
私があなたのように自由になるためには、この檻を壊せばいい。この世界に巡らされた制約ばかりの檻、それを壊してしまえばいい。ただそれだけでよかったんだね。そうすれば、私と和泉を隔てる鉄の檻はなくなる。私は私の望む世界へ、和泉の望む私に、自由になれる。
そうだよね、和泉?
「……」
和泉からの返事はない。でもいいんだ、じきに私も和泉のいる世界に行ける。だから待っててね。私はもうすぐ自由になるの。そんな私を――和泉、ずっと見ていてね。
私は祈るようにその言葉を繰り返す。私の心に根差した花は、真っ赤な愛の色に染まっていく。
足音が部屋の前で止まったのがわかった。悲鳴のような歪んだ音をたてながらドアノブが傾いた。
「和泉、私ね――」
最初のコメントを投稿しよう!