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私の震えた声が教室に響き渡った。彼女の表情が一瞬で冷えて固まったように見えた。しかしすぐに温度を取り戻し、いつもの笑顔に戻った。
「なによ急に……。私も小夜子のこと好きだよ。これからも仲良くしようね」
「ちがう」
私は和泉を見つめた。
「ちがう、そうじゃないの」
「……なにがちがうの?」
「付き合って欲しいの」
今度はほんとうに、彼女の表情から温度がなくなった。私という存在をこの世界に許してくれるもの、この世界につなぎ止めてくれるものは、その瞬間に目の前から姿を消した。
「……あたしたち、女の子同士だよ。どういうこと?」
突き放すような声色。異質なものを見るような視線。
「そのまんまの意味だよ」それでも私は平然として言葉を放った。「和泉と付き合いたいの、手を繋いで街を歩いて、一緒にミスドのドーナツ食べて、ショッピングしてかわいい洋服とか買って、それで」私は言葉を止めることができなかった。句点はどこだ。「お互いの部屋に行って、キスとかして、おっぱい触ってあそこ触って、それで、繋がりたいの」
「……」
「繋がりたいの」
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