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長い黒髪をさらりと揺らして遠ざかって行く背中に、言いようのない感情が込み上げる。
じわじわと胸を締め付けるように。
(でも……)
心配と思いやりをおもいきり振り払ってしまったあの夜――あの瞬間にひび割れて止まってしまっていた何かが、心の奥底で再び……ゆっくりと動き出したような感じがしていた。
思い上がりかもしれないが。独りよがりかもしれないが。
(それでもやっぱり柚葉はこの上なく大切な、大好きな親友で――)
胸の奥深くに、そんな決して不快なばかりではない温かな痛みを再確認した時には……
目に映る何もかもが涙で揺らいでいた。
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