1.夏色(1)

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 この人物の本質や優しさ、自分をからかって遊ぶのが半分趣味みたいなものだということも何となくわかってきていたからなのか、実際に無様な姿や失態も幾度となく晒してきて、すでにあきらめの境地にでも入っているということなのか……。  どちらにしても、はっきり笑ってもらえて、むしろ気が楽だった。  登校してまだ半日も経っていないが、心配と同情さらには好奇の入り混じった視線に晒されるのはもうウンザリだったし、特に心配と迷惑をかけまくった陸部関係者には腫れ物に触るような扱いをされたくなかった――というのもある。   それ以前に、純粋に会えて嬉しい気持ちが上回っているだけの気もするが……。 (くーっ、夏服も格好良くてムカつくなあぁぁっ! ベストも様になりやがって!)
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