1.夏色(1)

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「あ……はいっ。明後日一度、見せに来るようにって言われてますけど」  その気はなかったとしても結果的に殴って(?)ケガさせてしまって心配、というところなのだろうが、わざわざ退院してからもこうして気にかけてもらって、逆に恐縮してしまう。 「す、すみませんでしたホントに。あたしがノコノコ飛び出しちゃったばかりに……。逆に心配までおかけしてしまって」  ペコリと頭を下げる様子を見下ろしたまま、塚本がぼそりと口を開いた。  「……(あと)」 「え?」 「残りそうなのか?」  視線は真っ直ぐに左こめかみに向いている。
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