1.夏色(1)

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 事件といえば――諸悪の根源であるあの生意気で物騒な中学生たちはどうなったのだろう?   箸をくわえたまま、ふと思う。  入院二日目に柚葉から聞いた話によると、学校側から向こうの中学にきっちり連絡を入れたらしいということだったが。    あんな卑怯な奴らとは二度と顔を合わせたくないし、彼らがどうなろうと知ったことではないから、まあいっか……と鼻息荒く残りわずかな白飯をかき込んだ。 「っていうか――食べる時くらい置いたら? 」  しょうがないなあ……とばかりにクスリと笑って、柚葉が左手に握られたものを指差してきた。  ランチタイム真っ最中の今、当然右手には箸。  左手には水色のシャープペンシル。 「はうっ!? あ、あたしいつから持ってた!?」 「……無意識なの……?」
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