1 SFはSFでもSFだから俺は今日、SFを決行する

3/15
前へ
/26ページ
次へ
冗談じゃねーよ。 その革新的な技術のせいで俺の日常は壊されたってのに。あ、俺は雲野浮平(くものうきひら)ね。 話を戻すが俺は、いや、俺だけじゃねぇ、一部の人間(半分以上は30代以上)はSFによってその後の楽しみを奪われたのだ。 何故だか分かるか? 今世界は機械だらけ。森林は全てSF関係の施設に変換され、林業は専用施設で行われている。学校のグラウンドに土はない。カブトムシも取れねーし、とにかく自然関係は壊滅寸前だ。自然だけじゃねぇ、文化遺産もまた然り。平城宮跡なんざ大型ロボットの訓練施設になっちまった。 ・・・それだけならまだしも・・・ 最悪なのは『心がSFに支配されている』事だ。父も母も弟も同級生も先生も近所の知り合いも皆・・・この世界のせいで変わっちまった。ゆとりがなくなっちまった。 俺はこれをS(幸せの)F(腐敗)と呼んでいる。 奈良県生まれ奈良県育ちの俺だが、今年、弟と共に東京に引っ越す事になった。つっても別々の場所に住む訳だが。ちなみに4つ上の兄は既に在住中。 兄は今では一番難易度の高い蒼空大学の大学院の2年になり、弟は名門私立英帝クレイモア学園中等部の2年に転入、そして俺はそこそこ偏差値の高い公立夕日高校に入学する事になった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加