入浴剤3種類目

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入浴剤3種類目

キラは水がまるで駄目といううさぎではなかった。 自分の意思なのか偶然なのかよくわからなかったが、自ら水に入りに行く事がしばしばあった。 例えば庭で水やりをしている時、ホースから出るシャワー状のアーチに走って突っ込んできたり、キラのケージを洗っている時、水をはった入れ物に前足をぽちゃんと付けたり。 家族からも「水が苦手な様には見えないねぇ。」と言われていた。 そういえば、私はキラを一度だけ風呂に入れてしまった事があった。 キラは元々、ホームセンターで売られていた子うさぎだった。周りにはうさぎだけでなく、小鳥やハムスターのような小動物、さらには爬虫類までいた。 うさぎを飼うにあたって図書館で本を借り、うさぎに付いての勉強をしてから買いに行った私としては、ホームセンターでの飼育環境はうさぎにとって余り良くないと思われた。 人は多いし、賑やかだし、清潔感が常に保たれているとは言い難かった。 うさぎは臆病な性格で、静かで落ち着ける場所を好むという。 けれど、明らかにそれに当てはまりそうもないうさぎが目に入った。 うさぎは夜行性で昼間は寝ているから、見に行くなら夕方の方が良いと本には書いてあったが、15時頃に見に行ったところ、気だるそうなうさぎ達の中で一際活発なうさぎを見つけた。 私がケージの傍に寄ると自ら近付いてきて、ぴょこぴょこと跳ねて回った。 さらに指をケージに突っ込み触ろうとすると、その指をペロペロと舐めた。 店員さんに「子供がマネをするので手を入れないで下さい。」と睨まれてしまったので、「この子を見せて下さい。」と言ってケージから出してもらう事にした。 目やにはなく、お尻も汚れていない、健康状態はよさそうだ。おまけに元気でなつっこい。さらに…かわいい。 私はその日のうちにキラを買い求め、家に連れて帰った。 ケージや給水ボトル、餌の準備は既にできていたし、キラを連れて帰ると、家族も愛らしい子うさぎに夢中になった。
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