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「世界の終わり」
「人類全滅」
「ざまあざまあ」
げたげた笑い転げながら、若いのもハゲたのも、ワイシャツを脱ぎ、ズボンの前チャックを開き、腕をぐるぐる振り回し、公園中を走り回っている。元気だ。どれほど飲んでいるのだろう。そろそろ弱ってきても良い頃だと思うのに、連中、ますます元気だ。
(いつ終わるんだろう)
わたしは唇を噛みしめる。
うちの会社の連中も、ブルーシートからはみ出す勢いで乱れている。聞き苦しい声で喚き散らし、笑いたてている。
ひゅうばさっと風を切って飛んできて、背広がわたしの顔面に当たる。
誰かが脱いだんだろう。適当な場所によかしておいた。
「君とずんどこわっしょいしてみたい」
「あらんいやん課長およしになって」
生真面目な課長が、むっつり助平をさく裂させて、お局様に迫っている。課長、目がすわっている。お局様は、むっちりした太腿がタイトスカートからはみ出しそうだ。ブルーシートの上で今にもおっぱじめそうである。
そのすぐ側では、家庭の愚痴を大声で言い合う営業事務のOL集団がいる。
「加齢臭が酷くて枕カバーがヤギの臭い」
「わかるわかる」
言い合っている横に、よろよろっと新人君がやってきて、がくんと膝をついたかと思うと、メーと音を立てて口から汁を盛大に吐いた。
その悲惨な様が目に入っていないように、主婦らはスーパーの肉の質の悪さについて熱心に語り合っている。
「安いのはいいけれど、あれはダメね」
「買いだめして冷凍したら、いっぺんに味が落ちちゃう」
「ざまーざまー」
「おわりおわりー」
「げらげらげたげた」
公園の中を走り回る連中は、どこまで脱いだのか。
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