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ほろほろはらはらと白い花弁が舞い散るが、いつまでたっても桜は満開だ。
星ひとつない暗黒の空の下で、提灯のほのかな光が踊る。
巨大なきのこ雲――そうだ、あの不気味な形と音と絶望、その悍ましさは脳みそに刷り込まれていて未来永劫消えることはないだろう――みたいな、もこもことした桜の花枝の下で、宴は終わることなく、盛り上がり続けるだけだ。
「わはははは、この世の果て」
「いいじゃないかいいじゃないか、もう何もない」
「ぎゃははははは」
「どわははははは」
公園内を走り回る人数は、今やどれほどか。
ばさあ。グレーのズボンが飛んできた。
ばさあ。茶色い背広が飛んできた。
べたっ――すごく臭いものが顔にあたって、つまんで見たら純白のブリーフだった。誰かがついに脱ぎやがった。しかも、それをわたしの顔に投げやがった……。
無礼講。
終わりは既に迎えたのだから、最早なにかが終わる心配はない。
ただ思う存分騒げばいいだけ。
桜の木の下で。
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