好きです、先輩!

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「こっち」 先輩は掴んだ腕を離さず、そのまま私を上へと引っ張っていく。 一段ずつ階段を上って行き、気づけば屋上に出るドアの前まで来ていた。 「先輩。この先って屋上ですよね?生徒は出ちゃダメって先生が…」 「うん、屋上には出ないよ。ここ、あんまり人が来ない穴場なんだよね」 え、と聞き返そうとしたとき、先輩は足を止め、ドアの手前、階段の最上段に腰を下ろした。 先輩は自分が座った隣を指し、私も座るように促してきた。 「座って」 先輩に言われるままに、少しばかりぎこちなくなりながら、隣に座る。 隣に、と促されはしたものの、実際どのくらい距離を取ればいいのか分からなくて。 なんとなく30㎝くらいの距離を取ってみた。 「あの、先輩。一体どうし……」 先輩の行動の意図が分からず、確認しようと先輩の方を向いたとき、ふと私の視線は遮られた。 遮ったものは、まっすぐに伸びてきた先輩の腕。 気づいた時には、先輩の右手が、私の頭をぽんぽん、としてくれていた。 私はそれをすぐに理解できず、数秒間フリーズしてしまった。 「入学おめでとう。よく頑張ったね、百合岡」 先輩の腕の横から、笑顔の先輩が見えた。 「先輩…。あの約束、覚えてくれていたんですか……?」 私は恐る恐る先輩に尋ねた。 さっき確認できなかった『約束』のこと。 「もちろん」 頭に手を置いてくれているまま、先輩は答えてくれた。即答だった。 『約束』を覚えていてくれた。 1年以上前の、単なる口約束だったのに。 「ごめんね。百合岡が合格したこと、実は知ってた」 「え!?」 「生徒会の後輩だからね。一通り、みんなの進路は把握できるよ」
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