3.春はピンク色で

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「ってゆーかピンク先輩、相変わらずピンクっスね」 悪びれることなく言う彼に、あたしは吹き出した。 「そのピンク先輩ってのやめてよ、ラブレター君」 そう返すと、彼も明るく笑う。 「先輩こそラブレター君ってなんスか。──あ、じゃあ名前教えて下さいよ、名前」 「え?」 「名前ですよ。先輩の名前!」 「……うん……!」 本物の桜が、はらりはらりと舞い散る中──。 あたしたちはこの時、初めてお互いの名前を知った。血液型も星座も、誕生日も。 じゃあ、これからもよろしく。そんな挨拶を交わして。 髪を、ピンクに染めた。 それは、春を呼び込む出会いの色。 【end】
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