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「…………」
あたしは、ふぅと息をついてその場に座り込んだ。
ロッカーを背に、しゃがみ込む。
造作なく髪をかきあげて手を見ると、ピンクの髪の毛が一本抜けていた。
窓からの風が、廊下へと吹き抜ける。
ピンクの一筋は風にそよいで、教室から廊下へと飛んでいった。
───
────……
高校に入学して間もない頃。
中学時代からの友達だった子とちょっとしたケンカをして、それ以来、女の子たちから無視されるようになった。
無視はするくせに、あからさまにひそひそと陰口ばかり。クラスが変わればその空気は払拭できると思っていたのに、そこにも孤立していた私を知る女子はいて──。
『○組の子だよね』
『あの子前のクラスでぼっちだったらしいよ』
『あ、なんかわかる。そんなオーラ出てる系』
門に入るのが苦痛、校舎に入るのが苦痛、教室に入るのはもっと苦痛。
協調性が欠けるおまえが悪いと言わんばかりに、「友達と仲良くしろ」の一点張りの教師。
学校全ての人間の顔を見るのも嫌になった。
そんな苦痛を抱えたまま、三年間が終わった。
嫌いだった三年間が──。
卒業式の今日も、何もなく終わるんだと思った。
──卒業、おめでとう──
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