3.春はピンク色で

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「新三年生?」 「はい、新三年生っス」 「なんか、元気そうだね」 その様子だと告白はうまくいったのかな、と思いながら見上げると、彼はあっけらかんと笑い、 「いや、けっこうヘコんでましたよ。フラれましたから、普通に」 「──え?」 あたしは目を見開いた。 「フラれ、ちゃったんだ……」 切なくてきゅっと胸が掴まれたような感じがして、深くは追及出来なくなった。 「そっか……。ラッキーカラーじゃなかったね、コレ」 代わりにぎこちなく笑って、自分の髪を摘んで引っ張る。 すると彼は「いえ」と短く言って首を横に振る。 「そんなことないっス。それのおかげで、俺直接告れたんスから。いい思い出っス」 「そっか……」 尚も笑う彼に、あたしは少し安堵の息をついた。
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