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「……桜、綺麗っスね」
ふと、彼がピンク色の空を仰いで言った。
「満開の桜も当然綺麗だけど、俺こういう散り際の桜って好きなんスよね。風に煽られて地面をピンクに染めて、なんか最後の悪あがきしてるみたいじゃないですか」
「──……」
あたしは彼と同じ視線を追った。
「……うん、わかる。でも悪あがきって言い方」
「なんかどっかの誰かさんみたいじゃないスか?」
「…………」
──それってもしかして……。
彼をじとっと睨む。
「嘘嘘。冗談ですよ」
「相変わらず適当なことばっか言うね」
「あ、でも、今度こそラッキーカラー、ピンクだったんスよ」
「はあ? 出た、また嘘」
「いやホントですって。朝の占い見てきましたから」
「ホントにぃ?」
「ホントですって。だからこうしてピンク先輩に偶然会えたんじゃないスかぁ」
「え?」
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