3.春はピンク色で

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「……桜、綺麗っスね」 ふと、彼がピンク色の空を仰いで言った。 「満開の桜も当然綺麗だけど、俺こういう散り際の桜って好きなんスよね。風に煽られて地面をピンクに染めて、なんか最後の悪あがきしてるみたいじゃないですか」 「──……」 あたしは彼と同じ視線を追った。 「……うん、わかる。でも悪あがきって言い方」 「なんかどっかの誰かさんみたいじゃないスか?」 「…………」 ──それってもしかして……。 彼をじとっと睨む。 「嘘嘘。冗談ですよ」 「相変わらず適当なことばっか言うね」 「あ、でも、今度こそラッキーカラー、ピンクだったんスよ」 「はあ? 出た、また嘘」 「いやホントですって。朝の占い見てきましたから」 「ホントにぃ?」 「ホントですって。だからこうしてピンク先輩に偶然会えたんじゃないスかぁ」 「え?」
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