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「ってゆーかピンク先輩、相変わらずピンクっスね」
悪びれることなく言う彼に、あたしは吹き出した。
「そのピンク先輩ってのやめてよ、ラブレター君」
そう返すと、彼も明るく笑う。
「先輩こそラブレター君ってなんスか。──あ、じゃあ名前教えて下さいよ、名前」
「え?」
「名前ですよ。先輩の名前!」
「……うん……!」
本物の桜が、はらりはらりと舞い散る中──。
あたしたちはこの時、初めてお互いの名前を知った。血液型も星座も、誕生日も。
じゃあ、これからもよろしく。そんな挨拶を交わして。
髪を、ピンクに染めた。
それは、春を呼び込む出会いの色。
【end】
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