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吐き捨てたい気持ちをこらえて、窓の外を見る。
三階の高さから見る快晴の空はなかなかに壮観。
眼下に見える校庭の桜は小さな蕾をつけ、今にも綻びそうな気配を感じるような──まだ開花の時期じゃないけど、それほどに暖かい。
体育館からほのかにピアノの音が聞こえてきて、不思議と胸がくすぐられた。
あらゆる春のくすぶりと共に、あたしは確実に微睡み始める。
(終わるの何時だっけ。超長そう……。眠……)
腕を枕に頭を横たえ目を閉じようとしたけど、一人教室で待機させられてるまま寝ちゃうなんて、いかにも過ぎて面白くない。
というか、今この瞬間の窓の外の景色を眺めていたかった。
この時間と景色を独り占めしてるという自負と、他の奴等には出来ないことをしているという優越感があって、何げに心地好かった。
(──だからって、何が起きるわけでもないだろうけど……)
結局、机に伏せたまま、退屈モードで変わり映えしない校庭をぼんやり眺めているだけだったけど──。
それは、来た。
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