1.教室でひとり

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吐き捨てたい気持ちをこらえて、窓の外を見る。 三階の高さから見る快晴の空はなかなかに壮観。 眼下に見える校庭の桜は小さな蕾をつけ、今にも綻びそうな気配を感じるような──まだ開花の時期じゃないけど、それほどに暖かい。 体育館からほのかにピアノの音が聞こえてきて、不思議と胸がくすぐられた。 あらゆる春のくすぶりと共に、あたしは確実に微睡み始める。 (終わるの何時だっけ。超長そう……。眠……) 腕を枕に頭を横たえ目を閉じようとしたけど、一人教室で待機させられてるまま寝ちゃうなんて、いかにも過ぎて面白くない。 というか、今この瞬間の窓の外の景色を眺めていたかった。 この時間と景色を独り占めしてるという自負と、他の奴等には出来ないことをしているという優越感があって、何げに心地好かった。 (──だからって、何が起きるわけでもないだろうけど……) 結局、机に伏せたまま、退屈モードで変わり映えしない校庭をぼんやり眺めているだけだったけど──。 それは、来た。
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