24人が本棚に入れています
本棚に追加
と、いろいろ思案していると、ドアの側に一枚の紙切れが落ちているのに気が付いた。
さっきまではそこになかった物だ。
あたしは立ち上がり、その紙切れを拾いに行った。
それは白い封筒だった。
しかも丁寧な字で、うちのクラスのある女子の名前が宛名として書かれている。
「あっ……」
──直感的にそれがラブレターなるものであることに気付いてしまったあたしは、声をあげて男子に目を向けた。
それとほぼ同時に、
「……え? あ──」
男子も例の落とし物に気付いたのだろう、振り返っては慌てふためきながらあたしの方へ駆け戻ってきた。
「す……すいません、すいません!」
赤面しながら、あたしの手元からラブレターなるものを奪い返す。
「…………」
「あの……中身、見ました?」
「え?」
「その、封筒の中身……」
伏し目がちに苦笑いしながら聞いてくるその男子に、あたしは驚きつつも首を横に振った。
「見てない、けど……」
「……宛名、は……?」
「……。見ちゃった……かも……」
「…………」
「…………」
最初のコメントを投稿しよう!