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3年前、また次の年も2人でこのヤマザクラを見られるようにと願いを掛けたお守りに触れる。
「…寂しいわ。」
「ごめんね」
「どうして先に逝ってしまったの。」
「ごめんね」
「私をひとりにして、ひどい人。」
「ごめんね」
「ふふふ。ねぇ、私もそっちへ逝っていいかしら。」
「…ザザッ…ザ……」
?
『ダメだよ』
「ずるい…。そんなセリフ、録ってないわ。」
彼女はそっと涙を拭いて、もう一度サクラを見上げる。
「来年もまた、2人で来ましょうね。」
「あぁ、そうだね」
最後にそれを再生して、ボイスレコーダーのスイッチをオフにした。
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