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【5時限目】学至の魔眼!
―――――迎えた授業初日。
昨日、姫から零れた【ダークマター】により若干破損した教室は執事達により整然と片付けられ、通常の静けさを取り戻していた。
「では、本日もよろしくお願いしますぞ、講師殿」
「はっ! 本日も姫様の講師を務めさせていただく幸運を噛み締め、職務にあたります」
「ほう。それは大変殊勝な心がけですな、結構」
「そして姫様、本日もこのサトル……講師として最大限のパフォーマンスを披露し、姫様を指導させていただきますので何卒よろしくお願いいたします!」
「……まぁ、せいぜい本日も職務に励みなさい。私もあなたには少しだけ……期待しておりますわよ」
「ほっほっほっ。お二人共この調子であれば、本日も問題は無さそうですな。では、私はこれにて……」
そう言って、爺やはいつものように霧のように消え去った。
「……あの、私、授業の前に一つだけ確かめたいことがありますの」
さぁこれから授業開始だ、という時に姫から横槍が入る。
「……ちっ。藪から棒に……何です、【生徒A】?」
「なっ! 爺やがいなくなった途端、なぜ私が【モブ扱い】になっているんですの!?」
「そもそもあなたは生徒の一人にすぎませんから、TPO的に妥当な扱いでしょう。むしろ、今まで【姫様】と固有名詞で呼んでいたことが特別だったのです。それに、これから他の生徒が入ってくることを考えて【生徒A】と【識別】までしていますが?」
(こ、この男、人が【先生】と呼んだ途端に私を【モブ扱い】とは!)
「く……お、おほぉっ……!!!」
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