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「……対して、自然なスタンスで勉強するというところでは、勉強の習慣化というものがありますが、それは訓練で不自然を自然化する行為。しかし、姫様には習慣を超える【本能】を活かした勉強が可能です。あなたは……【最強の受験生】になる!!」
「私が……さ、最強!?」
「そうです。快楽欲という本能のまま、貪るように問題を解く【エクスタシー】への道。それが合格への道です!」
「ほ、本当にいいんですの……? 私が、そんな道を歩んで……」
「やれやれです。ここまで言っても理解されないとは、姫様の脳味噌はゴブリン並ですか? 何度も申し上げた通り、私は【講師】です。生徒の合格のために、最適な学習法を指示することが仕事です。姫様の場合、それが【本能】を活かした学習法だった、それだけの話です」
(よくも、こんな荒唐無稽な話を自信たっぷりと……でも、今までと同じ方法では不合格は目に見えている……それなら、未知の可能性に懸けてみるのも悪くはないのかも……)
「どうしました、姫様? すっかり黙り込んでしまって……私の言っていることが高尚すぎてついてこられませんか?」
「ここにきてまた馬鹿にするのですかっ、あなたはっ!!」
「わ、わかりましたわ! 今回に限り、あなたを信じて差し上げますわ! せ……んっ! ……せ!!」
一見悶えているようだが、時折彼女は僕のことを気恥ずかしそうな目で見た。
「姫様、何か言いかけました?」
「せ……先、生!!!!!」
「ふっ」
「悶えながら人のことを呼ぶとは、全く仕方のない方だ。ですが、ようやく私のことを【先生】と言えましたね。いいでしょう。では、過去問はこれまでとし、明日より本格的に授業を始めましょう!」
こうして、姫にようやく【先生】と認められた僕は、モチベーションも新たに本格的な受験計画の作成に取りかかるのだった。
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そう、僕たちの受験戦争は、これからなのだ!
(まだ終わりません)
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