94人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふっ。口に出さなくても、何をお考えなのかは悶え方で分かりますよ。怒るのか悶えるのか、どちらか一つにしていただけませんかね、【生徒A】?」
「また【生徒A】と! ……くっ、くうっ! ……もういいです!さっさと、私の質問をお聞きなさいっ!!」
昨日の告白による気恥ずかしさが尾を引いているのか、姫の悶えからの立て直しが若干早くなっている。自分の中で、プライドとM性のせめぎ合いがより強くなっているのだろう。そんなの、無駄なのに。
「あぁ、ご質問でしたね。何です?」
「あなた……先日から当然のように、こちらの世界の言葉を話されていますが、こちらに来てまだ【一ヶ月】も経っていないでしょう? こんな短期間で幻界語をマスターするなんて……一体、どんな方法を使ったのです?」
姫が珍しく鋭い視線をこちらに向けている。
まぁ、授業をスムーズに進めるためにも、ここらで講師への疑問はすっかり晴らしておくべきだろう。
「なんだ、そんなことですか」
「そ、そんなことって、ずいぶんと軽い返事ですわね。そもそも、異世界から来た者が転移先の世界で学問を教える、ということ自体、極めて【異常な事態】なのですよ!」
最初のコメントを投稿しよう!