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「それは、もちろん私も意外です。まぁ999年も浪人する【理外】のあなたを合格へ導くためには、もはや異世界の者にでもすがるしかない、という状況になっていたのでしょう。……どうやら、幻界には【ミジンコ並】の脳味噌の方が多いようですね」
「と、とうとう幻界全体を見下したかのような発言まで! この男には、世界を代表して【天誅】を与えなければなりませんわ……なのに……だ、ダメ……ふにゃぁああん!!!」
穏やかな怒りを持ちながらも、激しいM性によって目覚める性癖……この天使は、本当にどうしようもない。
「……何か、勘違いされているようですね。よろしいですか? 【ミジンコ】というのは、私がいた世界では【敬服すべき知能を持つ者】の例えなのです。こちらの世界で言えば、【神龍】クラスといったところでしょうか」
「ほ、ほう……? そうなのですか……あなたにしては、妥当な表現を用いたようですわね。ところで、その【ミジンコ】とやら……そちらの世界では神格化対象の生物だと見受けましたが、どのような姿形をしているのです?」
多分居そうだと思って適当に言ったのだが、本当に【神龍】がいるとは。うーん、ミジンコの説明、どうしようかな。
「そうですね、ミジンコは……体色は概ね緑色で、スライムのような柔らかい表皮で覆われています。まぁ、ネットで【100匹1000円】くらいで買えます」
「ねっと? 1000えん? ほとんど、言葉の意味が分からなかったのですが……でもまぁ、要するに【希少性】を裏づける例え話、ということなのですよね?」
「当然です!!!」
「い、言い切りますわね……ま、まぁ、納得しましたわ」
「ふっ。踊る阿呆を見るのは全く、愉快です……」
僕は零れ出そうな笑みを殺しながら、ぼそっと小声で呟いた。
「……今、何か仰いました?」
「いえ全く何も」
「では、長い前置きはこれくらいにして、先程の質問の【解答】をいただけますかしら?」
「うーん、そうですね。それに関しては、口頭で説明するよりも、見ていただいた方が早いかと」
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