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【2時限目】過去問100年分!
………!
………!!
………何か、僕を呼ぶ声が聞こえる
「……あの! お気を確かに!!」
「……はっ!」
「わ、私は一体?」
眼を開けると、僕は床に横になっていた。
「やっと、気がついたようですわね。あなた……数分ほど、失神していましたのよ」
どうやら、姫が意識を失っていた僕を介抱してくれたようだ。
「これは、お恥ずかしいところをお見せしました。……しかし、999年も浪人できる【大馬鹿糞野郎】がこの世に存在するとは、まさか夢にも思わなかったもので……」
(間違いない! 今、私のことを確かに【大馬鹿糞野郎】と!)
「……はっ、はぁんっ! あんっ……」
「どこか苦しいところでもおありですか、姫様?」
またしても、姫は動揺しているようだった。心なしか、吐息が漏れている様子が見てとれる。
「な、なんでもありませんわ! それより、そろそろ授業を始めてくださらないかしら?」
姫は動揺を隠すかのように、矢継ぎ早に催促してきた。
「かしこまりました。では、これを今からやっていただきます」
ドサッ!!!
僕は、あらかじめ用意しておいた大量のテスト用紙の束を、姫の机に勢いよく置いた。
「なんですの、この天井まで達しそうな用紙の束は?」
「これは、センター試験で出題される全科目の過去問【100年分】です。まずは、これで姫様の現時点での学力をチェックします。ちなみに過去問終了までの間、姫様にはここで【ずっと】過ごしていただきますので、ご覚悟を……!」
「ななっ!! い、いきなり、学力チェックで【100年分】って、正気ですの!? こんなの、無……あぁんっ……理!! 絶対、無理ですわっ!!」
最初の刺すような口調が一転、慌てふためく姫の様子が心地よい。
「何をうろたえていらっしゃるのです? 【畜生にも劣る低脳ぶり】を999年に渡って垂れ流されてきた姫様でしたら、こんなもの、汗をかく内にも入らない些事でしょう?」
「天使の中でも四大貴族の一つに数えられるレッドブック家の次期当主である私に向かって、人間風情が【畜生にも劣る低脳ぶり】という言葉を吐き捨てるなんて……は、はうっ!!!」
慌てふためいたと思ったら、今度は絶叫する姫。忙しい人だ。愉快な気持ちしかなかったが、まぁ心配する様子は見せておこう。
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