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【1時限目】999年浪人中!
―――西暦2018年。
僕の名前はサトル。年齢は29歳。職業は高校生向けの名門進学塾【妄信ハイスクール】講師。大学卒業後に就職して以来、生来のS気質を生かし、怒濤のスパルタ教育を行うことで生徒の合格実績をハイペースで積み上げ、【天才塾講師】として日々前のめりに働いていた。
―――そして、所変わって幻界歴30798年。
幻界……中世のような荘厳な佇まいをベースとし、魔法や召喚獣などの異能力が世界を彩る幻想的な世界。
仕事を終えた僕は、帰宅中に【ながらスマホ】をしている内、不思議な霧に視界を奪われたかと思いきや、ここ【幻界】に降り立っていた。
こちらに来て間もなく、右も左も分からないまま周辺を徘徊していたところ、レッドブックという天使が住む小国の姫様(次期国主らしい)が乗る馬車の進路妨害をしてしまい【不敬罪】で捕まった。そして、そのままスピーディーに事は進み、気がつけば裁判にまでかけられ、お先真っ暗な状態になってしまった。
裁判中、元居た世界での経歴を自白魔法で丸裸にされた僕は、塾講師を生業としていた点を評価され、幻界でお手上げの【浪人生】である姫様を【志望校】(界立 異能力総合学院)に合格させることができれば特別恩赦で【免罪】するという司法取引を持ちかけられ、今日から【異能力総合学院予備門】で姫様の専属講師として働くことになった。
ただこの姫様、噂に聞く所によるとドM気質で精神性に難があるらしく、それが祟って浪人を繰り返しているらしい。時期国主とは思えない問題児ぶりだ。
ちなみに、代々天使の名門貴族が国を治めるレッドブック国では国主になるための条件として、幻界での最高学歴である異能力総合学院を卒業することが義務づけられており、次期国主の候補者が学院への入学を逃すということは国主の座までも逃すことになり、政治的な問題にまで発展する可能性があるらしい。
しかし、こうした事情があるものの、最大の問題は異能力総合学院の入試規則により、姫様にとって次回の入試が【ラストチャンス】になっているという点だ。
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