【4時限目】エクスタシー学習法!

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【4時限目】エクスタシー学習法!

 姫からのエキセントリックな告白は終わった。  塾講師を始めて以降、多くの生徒の悩みを聞いてきたが、今回のような悩みは当然初めてだ。正直、面喰らっていないと言えば嘘になる。    ただ、驚いてばかりもいられない。悩みの解決への糸口を掴むため、告白の最中から思考を巡らせていた僕は、ふと姫の悶えぶりを思い起こすと、彼女が持つ【才能】とも言うべき可能性に気がついた。 「姫様が900年もの間、長きに渡って苦しまれてきたことは理解しました。それを踏まえた上で、その苦しみを解消し、かつ志望校に合格するための【解決策】を、今思いついたのですが……」 「【解決策】ですって? はぁ、そんな簡単に思いつくはずがないでしょう。冗談は止めて……」 「あなたの、フェチ……いえ、その特殊な性的嗜好……それを、そのまま受験に活かしましょう!!」 「……………は!?」  姫にとっては、意外な言葉だったのだろう。子供のように眼を丸くして驚く様子を、眼鏡の上からでも窺うことができた。 「お話を聞いた限り、姫様が抱える性的嗜好には二つの側面があると感じました。いわゆるMにも【二つの側面】がある、ということはご存知ですか?」  僕が勤務していた進学塾では心理学研修というものがあり、年に数週間ほどその研修を受けていた。近年のストレス社会の余波は受験生にも暗い影を落としており、生徒へのカウンセリングも職務の一部になっていたからだ。    そんな事情もあり、受験のモチベーション維持のため、心理学の知識を持ち出して生徒と対話することには、僕にも一日の長があった。 「ふ、二つの側面?」 「はい。一つは【反転】のM。そして、もう一つは【真性】のMです」 「まず、一つ目の【反転】のMについてですが……平常時、支配者階級である姫様はSMで言えば【S】の立場です。そういった人が、性的場面では反転してM気質になる現象……これを【反転】のMと言います」
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