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【3時限目】難問フェチ!
過去問100年分の開始から20日目―――――
教室内では相変わらず、ペンのカツカツカツ……という無機質な音のみが響いていた。
(何か、おかしい……)
この20日間、僕は注意深く姫の様子を見続けていた。目の前で観察し、どの程度まで基礎学力があるのか、またどういう考え方をして問題に取り組んでいるのかを把握するためだった。しかし……
「……んくっ! んっ!……」
(まただ)
「……ん、んはぁっ?」
(やっぱりだ。たまに見せる、この尋常ならざる姫の苦しみ方……普通ではない。試験中のストレスからくる過呼吸のようなものか?)
姫の様子に露骨な不自然さを感じていた僕は、その要因が非常に気がかりになっていた。
(ん、完全に動きが止まった。そういえば、今の問題に取りかかってから一層苦しむ感じが強まったような気が……)
「こ、この問題、なんて難しい……の! ……き、きくっ!! この問題、効くううっ!!!」
ここにきて、姫の様子、いや体調が更に悪化したようだ。最早、看過できない状況が姫の身に起こっていることは確定的に思えた。
「まずい! この苦しみ方は【過呼吸】に違いない! 姫様、今すぐテストを中止してください!!」
急いで姫の元に駆け寄ると、その勢いで眼鏡とマフラーが床に落ち、姫の素顔が顕わになった。
そこには恍惚の表情で眼を潤ませながら、マスクを涎まみれにした姫のあられもない姿があった……
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