06 長日

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 大きく息を吐き、もう一度――股間に触れる。 「あはは……っ、サルマキス、そういうことかよ――」  サルマキスの返事はなかった。  シートに突っ伏す。  俺は――女になっていた(・・・・・・・)。 ◆◇◆◇◆◇  その日の夜――俺はふと目が醒めて、自室を出た。  携帯端末片手にトイレへ行く。女子として高校に通うことになって、女子トイレに入るのも、トイレの仕方も、すっかり慣れてしまっていた。  まして、昼間の戦闘で俺はついに――辛うじて外に残っていた男の部分を失った。  ため息をつきながら用を足す。  戦闘後のメディカルチェックですぐに体のことは知られた。  真子には「精霊と人のバランスを考えると、戻る可能性はなくはないわ」と微妙な言い方でフォローのように言われたが、今も戻っていない。  個室を出る。  女子トイレの鏡は男子のより大きく綺麗だ。  鏡も、見るようになった。  鏡の中の自分と手を合わせる。胸元まで映っていて、少し屈むと寝間着にしているTシャツの下の夜用ブラまで見える。 「女に、か……」  そう呟いた時――かたん、と(かす)かな物音がした。  トイレの外だ。  小さな足音がトイレの前を通り過ぎてゆく。  俺は音を立てないようにこっそりトイレのドアを開ける。
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