Happy Bath Time

　そういえば、旅に出よう。そう思ったのも、お風呂に入っていた時だった。思わぬひらめきがお風呂で生まれ、私が変わるきっかけを作ってくれた。もし遠くない未来、シャワーしか浴びない日本人だらけになったとしても、私はきっとお風呂に入り続ける。ストライキを覚えた脚を癒やしてくれるのは、お風呂だけだから。

　冬の風はあっという間にお風呂の蒸気を排出して、浴室はまっさらな状態に戻る。私は浴室の隅々まで見渡して、今、こうして自分が全てをさらけ出してのんびり出来ることを心から感謝した。湯冷めしないように窓をそっと閉め、またうっすらと溜まっていく湯気を感じながら、シャワーで体を隅々まで洗い、そして最後にまた湯船に浸かる。

　ああ、幸せだ。なんて贅沢な時間なんだろう。

　そうやって私はお風呂の中で目を閉じ、またのぼせるまでお風呂に浸かった。次はどこの国へ行こう。そろそろ、お風呂の魅力をちゃんと伝えられるように英語も覚えなきゃ。それ以前に、今度のお土産はどうやって配ろう。自慢しないようにどうやって周りに感想を伝えよう。そんな風に先々のことを考えているうちに、何だかまたお風呂が恋しくなって、ここから出るのが惜しく感じられ、結局私はのぼせるギリギリまで湯船に浸かっていた。