第1章

7/7
前へ
/7ページ
次へ
本当は、ただ、ただ、謝罪がほしかっただけなのに。  ひんやりとした感覚が足にまとわりつく。いつの間にか、足元からも腕が伸びていた。ガクンッと身体が傾き、足が後方へ引っ張られる。上半身が激しく揺れ、石段を転がり落ちていく。 「ごめんね」 そう言った私の声は聞こえただろうか。ただ最期に見た彼の真っ赤な目は、少しだけ笑っている気がした。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加