第1章
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本当は、ただ、ただ、謝罪がほしかっただけなのに。 ひんやりとした感覚が足にまとわりつく。いつの間にか、足元からも腕が伸びていた。ガクンッと身体が傾き、足が後方へ引っ張られる。上半身が激しく揺れ、石段を転がり落ちていく。 「ごめんね」 そう言った私の声は聞こえただろうか。ただ最期に見た彼の真っ赤な目は、少しだけ笑っている気がした。
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