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一、東ノ里
保守的で排他的──。こんな里にあって素性の知れない俺が生かされているのは、草と薬の知識故に外ならなかった。
数年前──。
自分の歳すら知らなかった俺がこの東の里へ迷い込んできた時、ここの奴等は相当な気味悪がり様で、ただ俺に害をなすべく近づいてきた。
里を出なければ殺す──そう脅されては、石を投げ付けられていた日々。
しかし、転機は思いがけず訪れた。
里の人間の投げた石が、俺ではなく一人の少女の額に当たったのだ。
──事もあろうか、この少女が里の頭領の一人娘である陽様だったという事は、後に知る。
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