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「でもやっぱりめちゃくちゃ妬けたから、今夜は俺の好きにさせて」
そんな俺の申し出に、「仕方ないなあ」という顔で鮮やかに微笑みながら、彼が頷いた。
喉元に、噛みつくようにキスをする。肩や鎖骨、胸の先にも。
その度にびくりと跳ねる彼の、いちばん敏感な背後に手を回しながら、徐々に身体を下へとずらす。
「ここも、ここも、……全部俺のものだから」
「ああ、」
「でも、ほかのひとは知らないから。それが嫌なんだ。頼むから、あなたに恋する瞳を向けないで欲しい」
「売約済みの札でも貼っておく?」
そう彼が笑うから、「本気でそうしたい」と言って濡れた先端を舐めると、彼がふるりと身体を震わせて、あまい吐息を漏らした。
「いいよ。……全部、おまえの好きにしろよ」
喘ぎ声の合間に、彼がつぶやく。
「貴也さん、……愛してるよ」
「……俺も、愛してる」
この胸の想いは言葉では到底伝えられるわけもなくて、けれどもどうにかして伝えたくて、俺は彼を抱きながら、うわごとのように幾度も「愛してる」と囁き続けた。
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